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情けある人は あたたかく 智慧ある人は きよらか
今市幼稚園では、早いもので、平成27年度も終わろうとしております。また、明日は卒園式が挙行され、51名の園児が卒園いたします。
先日は、園児がこの本堂にあがって「おつとめ」がありました。その時のお話をいたします。
むかし中国に、司馬光という人がいました。この方は政治家であり、歴史家でもあった人です。これは、司馬光が子どものころのお話です。
ある日、司馬光は、他の友達と大きな水瓶に乗って遊んでいました。ところが、1人の子どもが水瓶の中にどぶーんと落ちてしまいました。この水瓶の中には水がいっぱい入っていました。その子どもは、あわてて「たすけてくれー」ともがくのですが、つかまるところもないし、どうしょうもありません。そこにいた子ども達は「どうしよう、どうしよう」と慌てふためいているばかりで、なにもできませんでした。その時、司馬光は慌てることもなく、大きな石を持ってきて、大瓶にぶつけて割りました、「じゃー」と水は流れ出て、中に落ちた子どもはおぼれずにすんで命が助かったそうです。
もしかしたら、他にも、大瓶を壊すことを考えた子どもがいたもしれません。しかし、もし、大きな立派な瓶を壊したら持ち主に叱られるのではないかと考え迷っていたといたら、その間に大瓶に落ちた子どもはおぼれて死んでしまうでしょう。司馬光は大瓶よりも子どもの命を救うことが一番先だということにすぐ気が付いたのです。この方のすばらしいと思うところは、助ける方法はいくつかあるでしょうが、一刻を争う状況で、石で大瓶を割ることが一番早いということに気づき、すぐに行動に移したことでしょう。正しい判断と行動力が伴っていたのです。これがまさに「智慧」というものではないでしょうか。
世の中には、頭の良い人が沢山います、知識が豊富な人も沢山います。しかし、それを、人をだましたり、苦しめたり、傷つけたりすることに使うのはもってのほかです。智慧とは、それを人が助かることや、争いが無く皆が幸せになることに使うことなのです。