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他人のために 尽くすことによって 自己の力を 知ることができる
私たちは、自分のためにすることは少しも苦にならないが、他人のためにすることには、多少の決意や勇気が必要になるものだ。
ありきたりな例であるが、電車やバスの中で、体の不自由な人や、お年寄り、妊婦さんなどに席を譲ることは、あたりまえのようだが、誰もが実行できるわけではない。なぜかというと、それは、座っているほうが楽に決まっているし、相手がこちらの気持ちを素直に受け入れてくれればいいが、「もし断られたらいやだな」と思ってみたり、かなり面倒なことには違いない。やはり決意と勇気が必要なことである。
しかし、そのような状況が放置されると、なにか「気まずい空気」がその場に漂うことになる。
そこで誰かが勇気を出して声をかけることによって、大げさかもしれないが、その場の緊張がほぐれ、気持ちの良い空気に変わることもある。
良かれと思うことは、勇気を出してやってみよう。結果はどうあれ、余計なことを考えず、肩の力をぬいてさらりとやってのければよいのだ。
「人のお世話にならぬよう、人のお世話をするように、そして、報いを求めぬよう」とは、後藤新平の言葉である。
一人一人が、小さなことでもいいから、他人のためになることを行うことによって世の中が住みやすくなってゆく。
無量寿経には「この世で十日十夜善事をなすことは、他方諸仏の世界で千年するよりも勝れている」とある。これは、お十夜の由来であり、この世でお念仏を称えることの意義深さを説いている。
日々の生活のなかでも「人の一生は短い。生きているうちに他人のためになるような良いことをすることは大変意義のある尊いことである」ということである。
「よいことが、できたのも、おかげさま」
謙虚に感謝する気持ちも大切だ。