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心にゆとり 人生に生きがい
1月25日は仏教徒にとって大事な日です。ここにいらっしゃる方々は、もうご存じのことと思いますが、浄土宗を開き、お念仏の教えを広められた法然上人のお亡くなりになった日ですね。いわゆる祥月命日ですが、浄土宗では「御忌(ぎょき)」と呼んでいます。
先ほど皆さんでお読みした「一枚起請文(いちまいきしょうもん)」は、法然上人が、お亡くなりになる二日前に弟子の源智上人に請われて書かれたものです。この中で、浄土宗の教えで最も大切なお念仏の意味、心構えや態度について説明されています。
先月は、仏教の根本思想の一つである「中道」のお話をいたしましたが、今月のことばも、先月の続きになってしまったことに気がつきました。なぜなら「心にゆとり」を持つためには、「中道」を歩めばよいからです。
かく言う私も、「自分は心にゆとりがないなあ」と思います。現代に生きる私たちは、毎日様々な事に追われて気持ちに余裕がありません。やはり何か無理をしているのでしょう。
以前ある方と話をしていて、「あなたの年齢では、そろそろ沢山のことをやろうとせず、欲張らず、やりたいことを絞ったほうがよいですよ。」と言われたことがあります。
ある程度の年になれば、気力や知力はおとろえ、時間も限られてきますから何ごとほどほどの範囲にとどめて、その中で努力するほうが良いということです。
欲張らないことと、あきらめることが大切ではないでしょうか。
人生に生きがいが必要なことはわかっていますが、なかなか生きがいが見つからないという人もいるのではないでしょうか。
ひとりでコツコツと何かをするのも結構ですが、人間は一人では生きていけません。生きがいも、できれば他人とともに喜べる、他人が喜んでくださることを探すと良いのではないかと思います。そして、喜んでいただいたら、喜んでくださって有り難うという気持ちになれれば、なおすばらしい生きがいになるでしょうし、それこそ「心のゆとり」というものでしょう。