|
人間の苦しみの 原因の一つは 他人との比較に ある
先日、小学校の運動会がありまして、招待されたので行ってまいりました。子ども達の一生懸命
がんばる姿を見ていると、不思議と癒されまして、さわやかな気持ちになりました。
しかし、運動会というものは、公衆の面前で、あからさまに優劣が見せつけられるのですから、
運動能力や体力に優れている人は良いが、その反対に運動神経が悪かつたり、体力が劣っている
人にとっては惨めな姿を見せなくてはならないのですから苦痛であると言えます。中には、劣等感を
持ってしまう児童もいるかもしれません。
それでも、見ている私たちが意外に心を打たれるのは、持って生まれた能力で易々と一等賞を
取ってしまうことより、ビリでも、一生懸命がんばる姿ではないでしょうか。
校長先生やPTA会長さんの挨拶には、必ず「精一杯、最後まであきらめずにがんばりましょう」
ということばが出てきますが、まさにその通りだなと改めて思いました。
人の世は、とかく優劣をつけなければ成り立たないし、それによって進歩してきたのも事実ですが、
ひとり一人の人間の価値を決めるのはそのような比較による優劣だけではなく、もっと目に見えない
ものも大切なのではないでしょうか。
仏教の六波羅蜜の徳目にも「精進」という項目がある通り、単に自分と他人を較べて、一喜一憂
するのではなく、他人の勝れている点は素直に称え、自分は自分で目標を持ち、それに向かって
精進努力する態度に最も価値があると思います。